■ゆりの木トップ
ゆりの木通信 vol.6(2004年9月号)
 相次いだ台風、15号16号はすごかったですね。店の前のソバの花、実のなる前になぎ倒されました。初めて知った台風による塩害、我が家の木や草花にも爪あとを残しました。農作物の被害も心配です。台風のシーズンはまだまだこれから。怖いですね。
★「そばの知識」第3回:蕎麦文化とそば屋の道具
■蕎麦文化と郷土蕎麦
 ソバは昔から日本人の食生活と深くかかわってきたました。日本独自の「蕎麦切り」に関する最古の記録は、長野県で発見された戦国時代1574年に書かれた古文書。そして江戸中期以降蕎麦文化は開花し、江戸の町には4千軒を超える蕎麦屋がひしめいたとされています。
 三大屋号の「更科」は、信州の布屋太兵衛が1789年に麻布永坂に看板を出したのが始まりで、ソバの実の中心部分を使用した白く上品な蕎麦が珍重されました。
 「藪」は黒っぽい田舎蕎麦を出して人気があった「爺が蕎麦」が元祖で、雑司ヶ谷鬼子母神の竹薮のなかにあったと言われています。また、江戸末期に駒込団子坂の薮の中に店を出して繁盛した蔦屋が店を閉めるとき、堀田七兵衛が譲り受けた神田雀連町の支店が「かんだやぶそば」で、現在の藪系の始まりと言われています。
 「砂場」は大阪で誕生しましたが幕末に衰退、その後1750年頃江戸薬研掘に大阪砂場蕎麦が開店し成功したとされています。
 日本各地にも食文化の一つとして、独自の蕎麦が発展しました。地元の食材を使い、風土を反映した特徴のある郷土蕎麦がいろいろあります。  
主な郷土蕎麦
  ・津軽そば(青森県津軽地方) ---大豆をすった汁でつなぐ保存性の高いそば
  ・わんこそば(岩手県葛巻) ---南部独特の振る舞いそばでつなぎは卵と豆腐
  ・そばかっけ(岩手県葛巻) ---薄く伸ばした生地を三角形に切ったもの
  ・板そば(山形県村山地方) ---杉や檜の蕎麦板に盛って供するそば
  ・へぎそば(新潟県小千谷) ---杉や檜のへぎ折敷に盛ったそばでつなぎはふのり
  ・富倉そば(長野県飯山市富倉) ---つなぎはオヤマボクチ(ヤマゴボウ)の葉の繊維
  ・おろしそば(福井県越前地方) ---大根のおろし汁をかけて食す
  ・皿そば(兵庫県出石) ---平皿にそばを盛ったもので、つゆをかけてすすり込み数枚食べる
  ・薩摩そば(鹿児島) ---つなぎに特産の自然薯を使う
■そば屋の道具
 そば工房ゆりの木のそばは、国内産玄ソバを石臼自家製粉した手打そばです。それでは、美味しいそばを作るために、毎日使っている主な道具をご紹介します。
製粉する

こねる、のす、切る
こねる:水まわしで全てが決まる
木鉢:直径64cmの栃ノ木手掘り
ゆでる
石臼製粉機:
低速回転で玄ソバを製粉
1時間に約600gしかできない
製粉後フルイでソバ殻を取り除く
のす:ひたすらに均一に伸す
打ち台:幅167cm、奥行き105cm、高さ76cm
麺棒:長さ120cmの巻き棒2本と90 cmののし棒1本を使う
切る:切りべら23(約1.3mm)は細すぎ?
切り板:長さ100cmのそば切りまな板
包丁:刃渡り33cmの青二鋼
小間板:切り幅を一定にするもの
茹で釜:直径52cm
すくいざる:40cm
茹で時間は40秒前後
茹で上がったそばは伸び易く、5分以内に食べて欲しいな〜 (つぶやき)