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ゆりの木通信 vol.7(2004年10月号)
 夫の脱サラ、そしてそば店を開業して約半年。友人たちが言う「人生の楽園」とはかけ離れた毎日を送っています。いつも料理のことが頭にあって、余裕がありません。でもとても充実感があります。
 時間を惜しまず研究・実践。ゆりの木のそば料理を進化させたいと思っています。
☆ゆりの木のこだわり:::健康と美味しさの追求
■水  「水は健康の源」と言われるようにとても大事なもの。秋田市の水道水は雄物川が水源。平成14年の河川の水質実態調査の結果を見ると、秋田県では子吉川と雄物川がダイオキシン類による汚染が気になります。日本一長い信濃川の河口はさらに高い濃度のダイオキシン類が検出されています。原因の一つとして、長い川ほど農業排水(特に除草剤)が入り込む量が多いためと考えられます。少しでも安全にするために浄水場では、濁りを沈殿させるために凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))、消毒のために塩素を、水質に見合った分量を投入します。
 しかし残留アルミはアルツハイマー症の原因物質の疑いがあると言われたり、塩素は有機物と反応してトリハロメタンなどの有機塩素化合物(発がん性)が生成される可能性があります。
 水を大量に使う「ゆりの木」では、経済性を考えて水道水を使わざるを得ません。そこで少しでも安全で美味しい水にするために、料理に使う水は全て浄軟水器を通しています。カルキ臭くなく、美味しい水になっています。
■そば  そばの良し悪しはソバ粉で決まります。産地と品種が明確な品質の良い玄ソバを仕入れています。今年の「ゆりの木そば」は福井産の福井在来種。モチモチした美味しいそばです。
 玄ソバは1年分をまとめ買いし、冷蔵倉庫を間借りして保管しています。品質劣化があまりなく、1年を通して美味しいそばを提供できるものと考えています。
 自家石臼製粉にこだわる理由は、美味しさの追求とそば製粉業界の信用の無さです。外国産を混入し、国内産として偽装販売していた札幌のY製粉。氷山の一角と思っています。
 「ゆりの木そば」は、白と黒のツブツブが入った透明感のあるソバカス美人で、噛むと甘みがにじみ出て来ます。食べる前にほんの数秒・・・そばの表情を是非鑑賞してください。
 (石臼製粉による玄ソバの挽きぐるみは、のっぺりとした浅黒いそばには絶対なりません)
■そばつゆ  返しは本返しで、醤油と本味醂と砂糖でつくり、約3週間寝かします。醤油は東京のそば屋さんの8割が使っているヒゲタ醤油。さすがにそばとの相性はとても良いです。出汁は試行錯誤の結果、鰹本節の厚削りを主体に宗田節を少々入れています。返しと合わせればそばつゆの完成。そばとの相性がピッタリの「ゆりの木つゆ」になったと自負しています。
■薬味  薬味は刻み葱と辛味大根(夏はわさび)。葱はそばつゆが葱臭くならないように、芯を取り除いてから刻み、水にさらしています。葱を敬遠しているお客様、臭くない後味の良い「ゆりの木ねぎ」を試してください。
■締め水  茹で上がったそばを流水で洗い、ヌメリを取ってから冷水で締めます。締め水は氷を入れた冷水です。そばを美味しくするための最後の仕上げで、とても重要です。
 美味しいそばは決して硬いそばではありません。しなやかで、適度に弾力のあるモチモチ感のあるそばです。茹で時間をわずか長くしてよく締めた方がより美味しいと思っています。 
■食べ方  そばをつくる側から見て、うれしくなる食べ方について述べさせて頂きます。
・お2人様以上でご来店の場合、出された順番に「お先に」と言って食べる
 
そばはのびやすいので、少しでも早く食べて欲しいと思います。美味しく茹でるためには同時に3〜4人前が限界です。また、ご注文の品目によっては、お出しするのに数分の差がでる場合があります。
・そばつゆは少なめに

 
つゆは江戸東京風の辛めです。そばを下半分ぐらいつけて食べてください。つゆ徳利をお付けしていますが、まず食べてみて足りない分だけ注ぎ足してください。そうすれば最後にそば湯が美味しくいただけます。